古事記のおさらい

『古事記』は上巻・中巻・下巻の3部構成。

◎上巻(かみつまき)=神話
◎中巻(なかつまき)=初代神武天皇から15代応神天皇
◎下巻(しもつまき)=16代仁徳天皇から33代推古天皇

日本神話として
特に大切なのが「上巻」。

その「上巻」も更に3段階に分かれていました。

<1>大和神話=天津神の登場
(天孫族が正統であることの根拠づくり)

<2>出雲神話=国津神が先住民だった
(出雲王朝が絶大な権力を誇っていた)

<3>続・大和神話=国津神から天津神への国譲り
(天孫降臨…実は垂直方向でなく水平方向の降臨!?)

この全体像を
把握することが大切です。

また、伊勢神宮と出雲大社の違いも。

超単純化しますと

◎伊勢神宮=天照大神をまつる
(天つ神の総本山的役割)

◎出雲大社=大国主神をまつる
(国つ神の総本山的役割)

10月のことを
神無月(かんなづき)と言いますが

これは出雲王朝が隆盛をきわめていた時代に
地方の豪族が出雲に集まって会合を行ったなごりで

◎出雲は「神在月」
◎その他の地域は「神無月」

になったとされています。

「古事記・上巻のあらすじ」
今日は上巻のあらすじを
再確認します。

これまでのPDFのハイパー速読版です。
詳細はPDFを再読しましょう。

<<大和神話>>

【1】宇宙のはじまり
 天地初発の時、高天原に
 天之御中主神以下の造化三神などの別天神五柱
 さらに神世七代の神々が出現する。

【2】イザナギ・イザナミの登場
 神世七代の最後の対偶神として
 伊邪那岐・伊邪那美の二神が出現。
 国土を修理固成し、結婚にいたる。

【3】日本の誕生
 さらに伊邪那岐・伊邪那美の二神は
 大八嶋国その他の小島と、神を生む。

【4】イザナミの死
 神生みの終末に、火神を生んで伊邪那美が死に
 伊邪那岐は怒って火神を殺し、伊邪那美を比婆山に葬る。

【5】イザナギの死の国訪問
 伊邪那岐、死んだ伊邪那美を恋い慕って
 黄泉の国を訪れるが、あまりの汚穢に驚いて逃げる。

【6】天照大御神・月読命・須佐之男命の誕生
 伊邪那岐、穢れを祓うために
 阿波岐原で禊祓をして、神々が生成。
 目鼻を洗って、天照大御神・月読命・須佐之男命の
 三貴子を生み、分治を命ずる。

 →太陽の国(アマテラス)、夜の国(ツクヨミ)、大海原(スサノオ)

【7】須佐之男命の追放
 須佐之男命、伊邪那岐の分治の命令に
 泣いて従わず、高天原を追放される。

【8】須佐之男命と天照大神の誓約
 須佐之男命、別れの挨拶のため
 天照大神に会いに行くが、両者に誤解が生じる。
 二神は天安河で誓約(うけひ)し
 須佐之男命は潔白を証明する。

【9】天の岩戸
 須佐之男命「勝った勝った」と高天原で乱暴。
 天照大神は天の岩屋戸に籠る。
 八百万の神、神楽をして天照大神が再び出現。

【10】五穀の発生
 須佐之男命が高天原から追放される際に
 大気都比売神(おほげつひめ)を殺す。
 「五穀」が大気都比売神の死体に生じる。

<<2>>出雲神話

【11】八岐の大蛇(やまたのおろち)
 須佐之男命、出雲に降る。
 肥の河上で八岐の大蛇を退治して櫛名田比売と結婚。
 須賀の地に鎮まる。

【12】稲羽の素兎(いなばのしろうさぎ)
 大国主神(須佐之男命の6世孫)が
 稲羽の素兎を助けて、八上比売(やがみひめ)と結婚。

【13】八十神の迫害(やそがみ)
 嫉妬した大国主の兄弟八十神が、大国主神を迫害し
 大国主神は紀の国を経て、須佐之男命のいる根の国に逃れる。

【14】須佐之男命からの試練
 大国主神、根の国で須佐之男命の試練を受け
 その娘の須勢理比売を得て宇都志国玉神となり
 初めて国をつくる。

【15】沼河比売との長歌
 大国主神、高志(こし)の沼河比売に求婚して
 長歌をやり取りする。

【16】須勢理比売との長歌
 大国主神、須勢理比売と長歌をやり取りする。

【17】スクナビコナの登場
 大国主神、少名毘古那神(すくなびこな)と国づくりをする。

【18】葦原中国の平定
 天照大神、葦原中国(あしはらのなかつくに)の平定のために
 天菩比神(あめのほひ)を天降らせるが、使命を果たさず
 続けて天若日子(あめのわかひこ)を天降す。

【19】建御雷神の派遣
 天若日子も使命を果たさず
 三度目に建御雷神(たけみかづち)を天降らす。

【20】建御名方神の服従
 葦原中国の主である大国主神の子、事代主神は天つ神に服従を誓うが
 もう一柱の子、建御名方神(たけみなかた)は反抗して
 建御雷神に科野(しなの)州羽(すは)まで追われて服従する。
 ※建御名方神は諏訪神社(長野県)の祭神

【21】国つ神から天つ神への国譲り
 大国主神、服従して国土を天つ神に奉献することを決意。

<<3>>続・大和神話

【22】邇邇芸命の誕生
 天照大神の子、天忍穂耳命(あめのおしほみみ)が
 天照大神の命令で葦原中国に降臨しようとする時に
 子の邇邇芸命(ににぎのみこと)が誕生する。

【23】天孫降臨
 天孫である邇邇芸命が、父の天忍穂耳命に代わって
 猿田毘古神(さるたひこ)の先導を受けて葦原中国に降臨する。
 天宇受売命(あめのうずめ)は猿女の君(さるめのきみ)の名を負う。

【24】木花之佐久夜比売の出産
 邇邇芸命、国土を巡幸して木花之佐久夜比売(このはなのさくやひめ)と出会う。
 比売は火の中で火照命(ほでり)・火須勢理命(ほすせり)・火遠理命(ほをり)を生む。

【25】海幸彦と山幸彦
 火照命(海幸彦)と火遠理命(山幸彦)の、釣り針をめぐっての兄弟闘争に
 海の宮を訪れた弟の火遠理命は、海の神の助力を得て勝利をおさめ、兄は服従を誓う。

【26】鵜葺草葺不合命の誕生
 火遠理命、海の神の豊玉比売と結婚し、
 比売は鵜葺草葺不合命(うがやふきあへず)を産む。
 豊玉比売の妹の玉依比売(たまよりひめ)がその子を養育する。

【27】神武天皇の誕生
 鵜葺草葺不合命、そのおば玉依比売と結婚し、
 五瀬命(いつせ)・稲氷命(いなひ)・御毛沼命(みけぬ)・若御毛沼命(わかみけぬ)を産む。
 末っ子の若御毛沼命が後の初代天皇(神武天皇)となる。

・・・以上。
長うござんした(笑)

▼参考文献
『日本神話』
中村啓信、菅野雅雄・著(おうふう)
※昭和53年初版発行